奥出雲あすなろ教育の会
第6回奥出雲の教育を考える会「奥出雲の教育のこれから」
2019年12月3日
第6回は、「奥出雲の教育のこれから」をテーマに、青山節美さんを講師にお迎えして開催しました。
青山さんからは、「コドモの異変・オトナの異変」等の資料を頂き、教育をめぐって、どんな変化が起きているのかといったことをお聞きしました。
青山さんのお話の一部を抜粋してご紹介します。
「全般的に見て、子どもも大人も考えないようになっています。突然考えなくなるのではなく、だんだんと考えない風に育てられてきているはずなのです。」「中学生の勉強は、知識と経験の連動なんですが、これができない。考えられないんです。」「オトナは子どもに「好きなことをしていいよ」といいながら、好きなことをしたら怒るんです。自分が願う“好きな時間の過ごし方”を押し付けているのです。」
「教育は変わります。昭和の教育を受けた子どもと、平成の教育を受けた子ども、令和の教育を受けた子ども。新しい教育の価値観で育てられる子どもたちを、昭和の価値観で育てられた私たちが、私たちの価値観でやってしまうと、つぶしてしまうことになるわけです。」
「自己判断が出来る人になるというのは重要です。子どもの判断はあさはかです。経験がないから。中学生の子を地域の人が怒るんです。経験のない子を大人が本気で怒るんです。ちょっとの失敗でもがみがみ怒られて育てられると、最初からお手上げで何も考えなくなるのです。いまの中学生・高校生は最初からチャレンジする子が少ない。大人は口ではいうんです。「失敗していいからやってごらん」と。でも失敗したときにめちゃくちゃ怒るんですね。安心・安全に失敗することをたくさんさせたほうがいい人に育つと思います。」
「放っておいても体は大きくなりますが、どんな子育てをしていくのか目標・ビジョンがないと育てられません。放っておくだけで子どもを育てると、10年後20年後にどういう大人になるでしょうか。子育ては、子どもを育てるのではなく大人を育てているんです。いまは小さい子供でも10年後20年後には確実に地域を担う大人になります。地域を担う大人をどういう人に育てていくのか。前提が変われば方法が変わります。自分の力で考えて行動できず判断も行動もできず言われたことをやるだけ、あるいは言われたこともできない人に育てるのか。地域を任せられる人に育てるのかでガラッと変わります。」

第5回奥出雲の教育を考える会「奥出雲の教育のいま」
2019年11月14日
第5回は、「奥出雲の教育のいま」と題して勉強会と意見交換会を行いました。
話題提供の一つ目は、当会代表宍戸が、事前に町立小学校をまわって校長先生にインタビューした結果のご報告を行いました。各学校の経営方針や独自の取組み、子どもたちの様子などをご紹介しました。
参加者の皆さまからも、「それぞれ独自の取組みをされていることがわかってよかった」「こういうことをもっとたくさんの人に知ってほしい」「良い取り組みをこれからも残していってほしい」などの声を頂きました。
話題提供の2つ目は、今年3月に小学校教員を退職された田中茂樹先生(馬木在住)から「現場からの声」のご報告でした。
教員としてこころがけてきたこととして「毎日の1時間1時間の学習を大切にする」「一人一人を大切にする」「生徒の精神的・経済的自立のために教育を行っていく」などの理念をお話頂きました。一方、課題として教材研究する時間がとれない、行事に追われる、特別支援の視点からの指導が多くなっている…などの指摘がありました。

第4回奥出雲の教育を考える会「廃校後の地域の未来」
2019年9月3日
第4回は、「廃校後の地域の未来」をテーマに開催しました。
☆講演内容の詳細はブログへ☆
最初の話題提供は、飯南町谷地区 澤田定成さん。
谷地区では、平成17年3月に谷小学校が閉校。その後旧校舎を改修・地域内外の交流拠点「谷笑楽校」として活用しています。その他、谷地区では閉校後の取組みとして、
・卒業生会を組織し隔年で総会を開催、情報発信や地域の特産品販売等を実施。
・飯南神楽団をはじめとして地域内に様々な団体が活動。
・自治会輸送活動、スノーレンジャー等、生活を支える仕組みを構築。
など、様々な活動を展開しておられます。
谷自治振興会会長として、閉校後も、地域を残していくための活動に取り組んでこられた澤田さん、
「子どもたちを地域に残していかなければ次の時代を担っていく人がいなくなるという事は、廃校になっていま、身に染みてわかってきました。地域によってはほとんど子どもがいない地域もあります。これからの地域の教育は子どもをいかに残していくか、ということが大事で、それを考えていかないと地域はなくなってしまう。」と、メッセージをくださいました。
次の話題提供は、美郷町の吉田敦さん。
地域おこし協力隊コーディネーターとして活躍する中で見てこられた、君谷地区の取組みや地区の雰囲気の変化をお話しくださいました。
君谷小学校は平成16年3月閉校。
吉田さんがUターンしてきた10年ほど前は、地区が広いこともあり「まとまりのない地域」だったと言います。しかしその後地域おこし協力隊員が着任。隊員の提案で始まった「秋の収穫祭」を契機に、だんだんと地域が盛り上がってきて、花と蜜蜂の里づくりなどの事業に取り組み始めたとのこと。いまでは、蜜蜂に関連し、高齢者と子供が触れ合う交流事業等も展開しているそうです。
どちらの地区でも、閉校後、子どもたちが関わるイベントを開催するなど、子どもに関する活動に取り組んでいます。それでも、地域で子どもたちの姿を見ることはイベント以外ではほとんどなくなったと言います。
統合すれば子どもたちの地域へのかかわりはどうしても減ってしまう。それでも、将来地域に帰ってくる子どもを育てなければ、確実に地域は衰退していく・・・閉校になるとすれば、地域と子供の関係づくりは、なお一層重要になってくると感じました。
後半は、飯南町赤名公民館 景山良一さんの司会進行で、意見交換を行いました。
まず、4-5人一組の班を作りました。
そして、廃校になったらどうなると思うか?を、一人一人カードに書き出しました。
そしてそれを班の全員分をまとめて、隣の班と交換!
1枚ずつ引き、それぞれが一番大事だと思うもの1枚を残して、見せ合う。というもの。
参加者の皆様からは「廃校になったら地域はどうなるのか、イメージがわいてきた」「これから地域でしっかり考えていかなければならない」など感想を頂きました。
☆講演内容の詳細はブログへ☆

第3回奥出雲の教育を考える会「『学校再編』検討の進め方 その2」
2019年8月20日
【話題提供・意見交換】「良い再編、悪い再編、フツーの再編」檜谷邦茂氏
檜谷さんのお話は、「 再編が良い・再編が悪い、存続が良い・存続が悪い、という議論 はあまり意味がない。 何かの手段として「学校を一緒にしましょう」あるいは「残ったからこんなことができる」というはずだったのに、だんだんと、再編をすることあるいは存続することが目的化してしまうという事が、学校再編の中では起きてしまう。それはいいことにはならない。 」という、再編を何のためにするのか?という問いから始まりました。
そして、「再編が良い・悪いということではないですが、再編の過程で、「悪い再編」のパターンはあります」として、「悪い再編」の4つのパターンを示されました。①協議会がブラックボックス化、②賛成・反対のアンケートを取り地域内で冷戦を引き起こす、③統合した学校で決めることは、校名・校歌・校章・制服・・・・、④存続したあとも「一人学級は可愛そう」論が再発・・・これらはどこでも陥りそうな話で、「うちの地区もそうなりかねない!!」と心当たりのある方も多かったと思います。
次のお話は、「これからの教育がどう変わるのか」という情報提供でした。「教育改革2020と言われている、教育の変化について、わかりやすく説明してくださいました。おもしろかったのが、フランシスコ・ザビエルについての学習についての事例。今の親世代が受けてきた教育では、テストの設問は「(ザビエルの写真を見て)この人物の名前を覚えなさい」とか「ザビエルがしたこととして正しい選択肢をすべて選びなさい」といったことでした。それが、これからの教育では、「もしあなたがザビエルの布教活動をサポートするとしたら、ザビエルに対してどのようなサポートをしますか?」となるというのです。
学校の形も変わるかもしれません。N校という通信制インターネットの学校や、「さとのば大学」といった新しい学校の形が生まれているそうです。
また、宮崎県五ヶ瀬町での「G授業形式」や山口県宇部市で行われている学校の授業を地域に公開する仕組み、益田市豊川小学校で行われている学校の一区画を地域のコミュニティスペースとするなどの事例を紹介されました。「いろんな意味で、学校というところが可能性があるのは確かだと思います。教育の在り方としても、公教育の在り方としても、可能性があるなと思います 」とのこと。
そして最後には、「学校だけにどれだけ期待するか。もちろん学校システムの中でやれることはしっかりやってもらうということで期待してほしいのですが、でもそれ以上に子どもたちには本当は時間もかなりあり、社会全体で出来る事もたくさんあるでしょう。その中に地域を含めてどういう教育をやっていくかということをいれていかないと、学校にすべてやって欲しいとなるとパンクするし、学校自体が持っていないスキルでやってくれというのは難しい。今のタイミングだからこそ、再編協議会ではなく、教育魅力化協議会を各地区でつくってもらって、その中に、学校も含めてですが、各地区で何をやるかという議論をしていくと良いのではないかと思います。」と、熱いメッセージを頂きました。

第2回奥出雲の教育を考える会「学校再編検討の進め方」
2019年7月3日
①益田市「今後の小中学校の在り方に関する基本方針」 策定の考え方・進め方 益田市人づくり専門監 大畑伸幸氏 (スカイプでご登壇)
②地区での再編検討委員会の進め方 出雲市 伊野自治協会会長 多久和祥司氏
③様々な自治体の「再編方針」「教育ビジョン」を読む 奥出雲あすなろ教育の会 代表 宍戸容代
④意見交換 これから奥出雲で再編の検討をどう進めていけばよいか

第1回奥出雲の教育を考える会「小規模校・複式学級の実際を知る」
2019年6月3日
①学校再編を考える時に知っておきたいこと(島根大学教育学部教授 作野広和氏)
②小規模校PTAの体験談(飯南町志々小学校PTA会長 安部ひかる氏)
③複式学級の授業の様子、メリット・デメリット(三刀屋中学校教頭 松島貴紀氏)
④学校再編に関する説明会の報告(阿井地区保護者)
⑤意見交換
